Scroll Top
closure

閉業する

閉業前の準備

医者としての引退、そしてクリニックの閉院、医療法人の解散。
「引退」しようと考えれば、これらの法律的な手続きのほか、不動産の売却、賃貸借契約の解除、リースの整理、医療機器の廃棄、カルテの保管場所の確保、患者の引き継ぎ、閉院にあたっての従業員の取り扱いなど、やるべきことは多岐にわたります。

閉業にかかるコストを考えておく
建物の復元・取壊し費用

テナントでクリニックを運営していた場合は、内装や外装を元の状態に復元し、貸主に返す必要があります。
土地のみを借りている場合は建物そのものを取り壊さなければいけませんが、そのようなケースにおいては、復元や解体のための費用が発生します。
解体費用の相場は1坪あたり3万〜4万円ほどですが、複数の業者から相見積りを取ることをおすすめします。

法的手続きの委託費用

個人診療所でも医療法人でも、閉業時には複数の機関において法的手続きを行う必要があります。
それ自体の申請費用は少額ですが、手続きを税理士などの専門家に委託する場合は、その分の報酬を支払う必要があります。

従業員への退職金

クリニックを閉業する際、それまで働いてくれていたスタッフには退職金を支払います。
相場は「基本給の半額×勤続年数」となっているため、現金や生命保険によって積み立てておくことが大切です。

残債の清算

クリニックの開業や運営には多額の費用が発生するため、もともと借金をしていた方も多いでしょう。
閉業時には、そのような残債もきちんと清算しなければいけません。

医療機器の処分費用

クリニックには、これらのような大型の医療機器が少なからず設置されています。
そのような機器類は、専門業者に買い取ってもらう、あるいは無償で引き取ってもらうことで処分することができます。
しかし、年数の経過などにより、機器の価値が下がっていると、処分費用がかかってしまうことがあります。
リース契約によって利用していた医療機器に関しては、リースの残債、あるいは違約金を支払わなければいけません。

備品・医療廃棄物の処分費用

医療機器のほか、細々とした備品や医療廃棄物も処分する必要がありますが、薬剤や感染性廃棄物は取扱いに十分注意する必要があります。
廃棄物によっては専門業者に処分を委託しなければいけませんが、閉業時には大量の医療廃棄物が発生するため、その分費用も高額になります。

廃業時の注意点
カルテ・レントゲンデータの保存

クリニックが閉業したとしても、一部のデータや記録は決められた期間、保管しておく必要があります。
例えばカルテは5年、レントゲンデータは3年間保存しておくことが義務付けられているため、誤って廃棄してしまわないように注意しましょう。

麻薬の免許廃止・在庫処分

閉業によって麻薬の取り扱いがなくなる場合は、麻薬管理者・麻薬施用者の免許は返納しなければなりません。
免許証だけでなく、在庫の廃棄に関しても麻薬廃棄届を提出しなければいけません。

3ヶ月前までにスタッフ・患者に通達

閉業が決定した場合、できるだけ早くスタッフや患者にその旨を通達することが望ましいです。
スタッフは新しい勤務先を探す必要があり、患者も他の医療機関に引き継がなくてはならないため、遅くても3ヶ月前には通達しておきましょう。

閉業の失敗事例

思いつきや素人判断での閉業、引退は禁物です。
例えば、同じ閉業でも失敗事例があります。あなたの引退が失敗しないよう、お気をつけください。

閉業する場合のメリット・デメリット
閉業のメリット

・タイミングを経営者が自分で決められる
・後継者・事業承継先を探す手間が不要
・倒産に比べればダメージが少なく、資金を手元に残せる

親族や第三者承継(M&A)をする場合、承継のタイミングは後継者・承継先の意向に大きく左右されますが、閉業であれば基本的に経営者が自分の意思でタイミングを決められます。
また、当然ながら事業の後継者・承継先を探す必要がなく、そのための苦労・手間・コストが不要です。
債務超過・資金難で倒産を余儀なくされた場合、クリニックの全資産を売却しても債務弁済に不足し、事業清算後に資金が手元に残りません。個人事業主や個人保証(経営者保証)をしている法人経営者は自己資金を投入しなければならず、自己破産に陥ることもあります。
倒産に至る前の、まだ財務的な余裕がある段階で廃業を選べば、清算後に資金を手元に残し、よりダメージが少ない形で幕引きを図ることができます。

閉業のデメリット

・閉業コストがかかる
・患者を他院に紹介し引き継ぐ必要がある
・スタッフの職が失われ、地域雇用が縮小する恐れがある
・地域医療が縮小・空洞化する恐れがある

買い手のつかない医療機器・院内設備・備品や返品できない医薬品の廃棄費用、リース機器の残債支払い費用、金銭債務の返済費用、物件の回復費用、スタッフへの退職金、行政手続きの委託費用などが必要になります。
閉業を決めてからしばらくの間は、初診を断りながら再診患者の診療と他院への紹介・引き継ぎの業務を行わなければならないため赤字となることがあり、それも閉業コストに加わります。
こうしたコストを総計すると、1,000万円を超えることも少なくありません。
医療機器・院内設備・備品のなかには中古販売業者などに売却可能なものもあるでしょうが、安く買い叩かれることになるのが現実です。
閉業に伴いスタッフは職を失い、地域は医療サービスと雇用の提供者を失うことになります。
医療の担い手が不足している地域では、失われた分を補うサービス提供者が現れにくく、地域医療の空洞化を進めてしまう結果になりかねません。

閉業以外の選択肢を検討する

クリニックの閉業には様々なコストがかかり、注意点も多いです。
スタッフや患者にも少なからず負担をかけることになるため、可能であればクリニックを存続させることが望ましいでしょう。
もし後継者が親族や知人の中で後継者が見つからない場合でも、第三者承継によってクリニックを存続させられる可能性があります
スタッフの雇用や通院患者の信頼を守るためにも、閉業の前に一度検討してみましょう。
ただし、クリニックの経営状況が芳しくないと、その分第三者承継が成功する可能性は低くなります。
業績を向上させ、後継者になりたいと思えるクリニックにすることが、医業承継を成功させるポイントになります。

お急ぎの方も、情報収集から始めたい方も、セカンドオピニオンとしても。

先生の価値を最大化する支援

病院・クリニックの様々なフェーズでの課題に対し、弊社の専門のチームがコンサルティングや支援サービスを提供いたします。課題に対し、グループ内税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士等の専門家とともに、成功のゴールまで一緒に走り続けます。
初めの一歩は、成功への第一歩です。

お急ぎの方も、情報収集から始めたい方も、セカンドオピニオンとしても。

先生の価値を
最大化する支援

病院・クリニックの様々なフェーズでの課題に対し、弊社の専門のチームがコンサルティングや支援サービスを提供いたします。課題に対し、グループ内税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士等の専門家とともに、成功のゴールまで一緒に走り続けます。
初めの一歩は、成功への第一歩です。