承継開業とは、新しくクリニックを構えて設備機器を準備し、スタッフを集めてゼロからスタートする新規開業とは異なり、法人または個人から既にあるクリニックを事業承継を行い、設備機器や場合によっては患者やスタッフまで引き継いで行う開業の形です。
開業医の高齢化による売り手側の承継ニーズは増加しており、開業に適した物件の減少に伴い、新規開業される際の選択肢に事業承継を選ばれるケースは年々増加し続けています。
クリニック開業では、多くの先生が新規開業と合わせて承継開業も検討されています。
新規開業の場合、制約が少なく、好きな場所を開業地として選ぶことが可能です。開業地選択の自由度が高いのは、新規開業といえるでしょう。
しかし、どこで開業してもうまくいくというわけではありません。来院患者予測数を見積もったり、競合クリニックを調査したりする中で、候補地は絞られてきます。
希望する場所で開業したとして、果たしてどのくらい患者さんが来院するのか予測を立てることができたとしも事前に知ることができません。診療圏分析は、開業希望地を基点として、診療圏内の地域患者数を病医院数で割り患者数の推移を予測しますが、これはあくまで予測です。
承継開業では、売却を希望するクリニックの中から、場所をはじめとしたさまざまな条件を比較検討して選ぶことになります。開業地をまったく選べないというわけではありませんが、一定の選択肢の中から選ぶことにはなるでしょう。
その場所でクリニックを経営してどのくらいの患者さんが来院するのかをあらかじめ知った上で医院経営をスタートできます。
内装の自由度が高いのは、新規開業です。賃貸の場合も、スケルトン物件がほとんどなので、内装工事で希望の配置やインテリアを決めることができます。
一方、承継開業では、既存の建物を受け継ぐことになります。売却を希望するクリニックの中から決めるので、一定の選択肢から選ぶことになります。ただ、承継開業の場合にも、内装工事をすることは可能です。内装工事でガラリと雰囲気を変えることも可能ですが、徐々に修繕を加えて理想とするクリニックにしていくというケースが多いです。
医師の専門性は様々なので、開業にあたり「このような患者さんを診療したい」「このような医療を提供したい」という希望は少なからずあることでしょう。
新規開業の場合、ゼロから診療をスタートするため、自分のカラーを出せるのがメリットです。
しかし、自分の理想とする診療を行うためには集患対策が必要です。新規開業から数年は赤字のまま借入金の返済が続き、貯金残高が減るのを見て気が滅入ったといった苦労話を開業医から聞くことも多々あります。集患がうまくいかなければ、結局は専門性にこだわることもできません。
承継開業の場合は、患者さんをそのまま引き継ぐことがほとんどです。そのため、初月から黒字を目指すことも可能です。
承継後の患者さん離れを防ぐために、患者さんの要望をできるだけくみ取り、一定の配慮をしながら徐々に自分のカラーを出していくことになるでしょう。
新規開業の場合、新しいスタッフを募集することから始まります。地域の時給相場などを加味して求人広告を出し、応募のあったスタッフの採用を行います。
一般的に、オープン時は、スタッフが集まりやすい傾向があります。とはいえ、必ずしも希望する経験値や人柄のスタッフと巡り会えるとは限りません。経験年数が浅い、医療事務は初めて、同じ診療科での勤務経験がないなど、さまざまなケースに合わせて、スタッフを採用、育成する必要があります。
また、開業前にスタッフ研修の期間を設けることが一般的です。患者さん対応や事務はお任せというのではなく、医師自身もスタッフの業務を把握し、サポートする姿勢が大切です。
承継開業の場合、既存のスタッフを引き継ぐことが一般的です。雇用契約は、医療法人とスタッフの間で結ばれます。そのため、医療法人を承継した場合、基本的に雇用契約は継続します。
新しいスタッフを募集せずとも、経験豊富で患者さんや地域のことを熟知したベテランスタッフと診療をスタートできるのは、承継開業のメリットといえるでしょう。レセプト業務なども、手慣れたスタッフがいれば一任できるため、医師にとっては心強い存在となります。
一方で、ベテランスタッフとの相性によって、開業後に苦労することもあります。可能であれば事前にスタッフの様子を観察したり、売り手医師からの情報を得たり、キーマンとなるスタッフと面談をしたりすると安心です。
開業にかかる最低限必要な金額でいうと、新規開業にかかるコストの方が高い傾向があります。賃貸の場合内装工事費が必須ですし、建築する場合は多額の土地代や工事費がかかります。
加えて、クリニックが建つということを周囲に周知する必要があります。看板や駅広告、HPの製作費もかかります。
「事業承継は高いのでは?」と誤解している医師もいますが、最低限必要な金額でいうと、承継開業の方が相対的に安い傾向があります。都心部などアクセスが良い地域で患者数の多い人気のクリニックの場合、譲渡価格は高い傾向がありますが、人気のクリニックでも、売り手の事情から譲渡を急いでいる場合、割安で譲受できることもありますので、案件の内容をよく吟味し検討しましょう。
そして、承継開業の場合、医療機器を引き継げることもメリットの1つです。しかし、数年後に買い替えが必要となる可能性があるため、減価償却の明細などをみて、購入年月日をよく確認しておきましょう。買い替えが必要なら、その費用もあらかじめ見積もっておくことが大切です。内装工事を予定している場合は、その費用も含めて事業計画を立てましょう。
開業場所を選定するためには、土地の取得費用や建物の建設費用、医療機器の購入費などの多くの開業コストが、数千万円または億を超えて掛ります。
承継開業であれば、開業コストを大幅に抑えることが可能です。土地の取得費用や医療機器の購入費用や優秀な人材を採用するための広告宣伝費を抑えることが可能です。
承継から大きな工事などが必要ないことから、時間も大幅に短縮することができます。
承継開業をすれば、既存の患者様を引き継いだ状態からのスタートになります。ゆえに開業当初より医業収入と利益の確保が見込まれます。
看護師などコメディカルの人手不足が深刻化しています。承継開業であれば、これまで働き続けてきたスタッフをそのまま採用できるため、患者様の安心感も維持でき、これまでの院内のオペレーションを維持することで、先生にとってはスムースな開業が可能となります。
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病院・クリニックの様々なフェーズでの課題に対し、弊社の専門のチームがコンサルティングや支援サービスを提供いたします。課題に対し、グループ内税理士、社会保険労務士、宅地建物取引士等の専門家とともに、成功のゴールまで一緒に走り続けます。
初めの一歩は、成功への第一歩です。
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